【D&I】自分と全く違う人がいれば、想像力は多様になる。ビジネスが加速する――AlphaDrive / NewsPicks for Business編集長 林亜季
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【D&I】自分と全く違う人がいれば、想像力は多様になる。ビジネスが加速する――AlphaDrive / NewsPicks for Business編集長 林亜季

ユーザベース(以下、UB)はDiversity&Inclusion(以下、D&I)の推進を加速するためのコミットメントを発表しました。それに共感したメンバー発で生まれたのが、「Diversity Empowerment Community」。女性管理職比率が27%と、全従業員における女性比率43%にまだまだ乖離があるUBには、Gender問わず「本当はリーダーになりたい、でも一歩踏み出せない」というメンバーが少なからずいることがわかってきました。

そこで、UBの多様なリーダーに光を当てる新企画、「Diversity Empowermentシリーズ」をスタート。社内外で迷っている人を「このスタイルならできるかも!」とそっとエンパワーします。10+αの質問から、新たなリーダー像を探っていきます!

第1弾は、AlphaDrive / NewsPicks for Business編集長の林亜季です。ユーザベースグループで企業内の新規事業創出を手がけるAlphaDriveと、企業変革や人材育成などを手がけるNewsPicksの法人向け事業「NewsPicks for Business」(以下、AD4B)の両方で編集長を務めます。2020年7月に転職して、約1年。多様なメディアを経験してきたからこその思いを聞きました。

プロフィール:林 亜季(はやし あき)
2009年、記者として朝日新聞社に入社。地方での記者経験後、新ビジネスの開発や投資などを行う「メディアラボ」で複数の新規事業立ち上げに携わった。経済部記者を経て同社を退社。2017年、ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパンに入社。ハフポスト日本版の広告事業を統括するPartner Studio チーフ・クリエイティブ・ディレクターとして初の黒字化に貢献。

2018年7月、アトミックスメディア(現リンクタイズ)に入社し、Forbes JAPAN Web編集部副編集長 兼 ブランドボイススタジオ室長に就任。同年12月から2020年6月までForbes JAPAN Web編集長を務め、サイトパワー増に尽力した。2020年7月から現職。NewsPicks for BusinessとAlphaDriveのコンテンツプロデュースを統括する。東京大学法学部卒業。

1. はじめてリーダーを打診されたとき、どう思った?

最初にリーダーになったのは、朝日新聞を辞めることを決断し、ハフポスト日本版の広告事業を統括するパートナー・スタジオのリーダーを任されたときです。前編集長・竹下(隆一郎)さんの、広告側でカウンターパートにあたるポジションでした。

最初に声をかけていただいたとき、リーダーになるのが怖いとは思いませんでしたね。大企業の社員を辞めてリーダーになるなら、覚悟を持って結果を出すんだという気持ちの方が大きかった。

そこで何とか踏ん張って初の黒字化を達成、後任のリーダーも結果を出してくださったおかげで2年連続の黒字化が実現。累積赤字を解消できました。

あくまでも私の考えですが、リーダーを打診されて引き受けるなら「結果を出す」という覚悟が必要だとは思います。

2. UBで実際にリーダーをやってみてどう?

2020年7月にAlphaDrive / NewsPicks for Business(以下「AD4B」)の初代編集長になったのですが、入ったときは専従のチームメンバーがいませんでした。まったく違うカルチャーの組織からたった1人で入ってきて、「ひとり編集部」だったんです(笑)。

立ち上がったばかりの組織で、割合としては男性社員が多く、イベントやセミナーの登壇者やコンテンツに登場していただく方も男性が圧倒的に多く、ホモソーシャル的な考え方も感じました。多様性に欠ける環境の中で、正直傷ついたこともありました。ジェンダーバランスも、働き方も、仕事へのコミットの仕方においても、この組織にはもっと多様性が必要だ、強くそう思いました。

でも、チームや事業を作りあげるワクワク感の方が大きかったんですよ。この1年で、現場メンバーや入社予定者、インターン生まで含めるとチームは10人まで大きくなりました。

AD4Bの特徴は、1つの組織の中で事業がどんどん生まれていくことです。そこで今は事業ごとにコンテンツを取りまとめるデスクを置いています。

たとえば、AlphaDrive統括編集デスク / NewsPicks for Business編集デスクは、AD4Bの全事業を網羅的に見て私の編集業務をサポートしてくれながら、中でも企業向けのNewsPicksである「NewsPicks Enterprise」と動画学習プラットフォームである「MOOC Enterprise」のテキストコンテンツを主に見てくれています。

ほかには、ドコモの法人会員向けメディアサービス「NewsPicks +d」、NewsPicksユーザーと企業による共創型商品開発支援サービス「NewsPicks Creations」、NewsPicksを活用した企業文化の変革に伴走する専門スタジオ 「Next Culture Studio」の各事業にそれぞれ1名ずつのデスクを迎え、さらに「MOOC Enterprise」などの動画コンテンツを統括するチーフディレクターを含め計5名のデスクがAD4Bの各事業でコンテンツを企画制作しています。

チームを作るにあたっては、D&Iを強く意識してきたつもりです。最初の編集部員として迎えた統括編集デスクは、10年以上フリーランスで仕事をしてきた人です。この1月に「人生初の正社員だ」と言いつつ仲間に加わってくれました。ワーキングマザーでもあり、仕事と家庭の両立に奮闘しています。

NewsPicks +dの統括編集デスクもテレビ局や新聞社を経て、Webメディアの統括編集長まで務めた人。

2人とも私より年上なんですよね。でも、だからこそ「守り」を堅めてくれる安定感や安心感があります。

それから、2021年に新卒入社したメンバーは4度の留学を経て海外でMBAを取得したZ世代だし、10月には、地方局で地域に根ざした記事・動画を制作してきたエディターを新たに迎えます。

最近ようやく、それぞれのデスクが各事業のことを報告してもらえたら、AD4Bのコンテンツ全体がわかる状態を作れました。でもコロナ下ですし、メンバー全員と膝詰めで話し合うような「家族感」はこれからかな(笑)?

3. 何を大事にしているの? 仕事だけでなく、人生でも。

編集の力でビジネスに新たな価値を生み出す」ことを大切にしています。もはやライフワークですね。編集力ってコンテンツを作るだけでなく、もっといろんなシーンで活かせるし、ビジネスを加速させることもできると思っていて。

朝日新聞時代、やりたいことがあっても承認に時間がかかりすぎてタイミングを逸してしまったことがありました。「現場からの多様な意見を、もっと尊重し合えばいいのになぁ」、そう思ったこともあります。そんな風に前向きになれずにいる、日本で働く人をエンパワーしたい、企業のポテンシャルをもっと引き出したい。そのために編集の力を活用したいんです。

編集者や書き手は、「芸術家」になってしまいがちな側面があります。「いい記事ができたからいいでしょう?」って。私はそれが嫌で。ビジネスパーソンとして企業の中で仕事をしている限り、数字で結果を出さなければならないはず。そこにこだわりを持っています。

4. ワークライフバランスについて、どう考え、実践している?

同僚やチームメンバーのワークライフバランスには気をつけるようにしていますが、正直に白状しちゃうと私自身は「ワーク イズ ライフ」と密かに思っているくらい仕事が大好きなんです。

ただ、これはあくまでも私の価値観であることを忘れてはいけないと思っています。私は独身だし、親の介護をしているわけでもない。生まれつき生理がない病気「原発性無月経」という身体的特徴もあります。要は、女性であっても男性的に働くことが「できて」しまう。

この状況は「ワーク イズ ライフ」を自認する私にとっては最高なことです。だけど、ちょっと特殊だということを自覚しておかなきゃいけない。

私の価値観を他の人に押し付けてしまったら、その人のワークライフバランスや大事な価値観を壊してしまいかねません。自分の価値観を大切にしながらも、メンバーの生き方や価値観こそ大切にしたいと思っています。

5. うまくいかなかったとき、どうした?

AD4Bにジョインしたてで誰も専従メンバーがいなくて、私ひとりだったときが一番つらかったですね。制作すべきコンテンツは山ほどあるけど、頼れる編集メンバーがいない。早くチームを作らなきゃと思いました。

そこで社内のメンバーも大切にしながら、外部のエディター、ライター、デザイナーなどパートナーのみなさんと、どんどんつながるようにしました。たとえばNewsPicks +dの場合、全国のビジネスパーソン向けのコンテンツをつくるため、デスクが日本全国にエディター、ライターの取材網を構築してくれているんです。

内にこもらず、外とつながって仲間をつくってきたことが良かったんだと思います。

6. メンバーと話すときに意識していること

AD4Bのデスク陣の多くは、私よりも年上だったり編集者歴も長かったりします。「すごい人たち」ばかりなので、基本的に「リスペクト」の気持ちで接しています。

でも、私はリーダーとして意思決定する役割を負っています。だからしっかりとした根拠をもって、ぶれない判断基準でジャッジすることが大切。

「このメンバーは年上だから言いにくいんだよな」とか「この人が話すと林さんは意見を通してくれる」といったように、私自身の判断基準がぶれてしまうとうまくいかないですよね。

リスペクトを込めてニュートラルに接し、判断基準は明確にしておく。そして、ちゃんと伝える。リーダーとして正当なジャッジをするよう心がけています。

7. 1on1のときに気をつけていることは?

よく言われることですが、自分が喋りすぎないでメンバーの話をしっかり聞くようには心がけています。

何らかの課題に対して私自身の考えを求められたときは、「私だったら」と前置きして私自身の感覚を伝えます。それに対するメンバーの意見を聞いたうえで、チームとしてどうジャッジするかを話し合います。

リスクコントロールやクオリティコントロール上、どうしてもこだわらなければいけない部分はこだわりますが、どちらでも成立する話については、各デスクやメンバーの感覚を信じてお任せすることも多いです。

8. メンバーと意見が対立したとき、どうしているか?

それほど対立したことはないものの、リモートワークが中心となり、Slackでのテキストコミュニケーションが多くなりすぎて、すれ違いが起きてしまうことはありました。

書いたことの裏を読みすぎたり、逆に想像力を働かせなさすぎたり。その結果、指示系統が混乱して、個人のWillと業務上の指示が噛み合わないこともありました。

リモートワーク中なので、そういう齟齬が生まれるのはある程度仕方がないと思います。でも、そういうときこそ時間を取ってしっかり話をするようにしています。

9. UBのD&Iについてどう思う?

あえて率直にいうと、基本的に考え方がマッチョですよね……。私も含めてですが、男性的な働き方をしている人が多いなと思います。がんばりやさんで、めちゃくちゃ優秀な人ばかりなのはすごいことです。でも彼らの考え方がマジョリティになりすぎてしまうと、超ハードワークをする人が正しくなってしまい、その働き方が当たり前としてまかり通ってしまう。

そうなってしまうと、数字で成果を出せるだけの体力のある人、仕事にあらゆる時間をつぎ込める人だけが高く評価されることになり、ある意味「やりがい搾取」になってしまうのではないかと危惧しています。

UBにはリーダー陣が各メンバーの半期の評価を行うフィードバック会議というものがあります。AD4Bの場合、そのメンバーが超ハードワークの男性ばかりで驚きました。

何本記事を書いたのか、いくら売り上げに貢献したのか、わかりやすい数字だけで評価するのは簡単です。もちろん私自身は、数字や結果にこだわって仕事をしています。だけど、人のバリューを数字だけで評価するのはちょっと違うんじゃないかと思っていて。

「直属のリーダーである私以上に、この人の働きをいったいどれだけ見ているの? 質的な活躍も評価してほしい」って、悔しく思うときもある。そこに強い危機感を覚えています。

バックオフィス業務やオペレーション業務を担当しているメンバーが評価されにくいようにも感じています。こうした業務は非常に細かくかつ複雑で、スペシャリティがなければできない重要な業務です。正直、私には絶対できません(苦笑)。フィードバック会議には様々なバックグラウンドのリーダーが入って、その仕事の大変さや「カイゼン」の価値を伝えていってほしいなと思います。

数字や売り上げを作る人だけが、企業に必要なわけじゃない。企業は成長も大切ですが、安定的に維持することも大事ですから。

10. D&Iを実践するメリットは?

「ウーマノミクス」の提唱者でESG重視型ベンチャーキャピタルを立ち上げたキャシー松井さんもおっしゃっていますが、まだまだ「ダイバーシティにはコストがかかる、D&Iを推進するには不利益を甘受せねばならない」と思っている人も多いのではないかと思います。しかし本来、D&Iが実践されると発想力が高まったり、想像力が豊かになったりするはずです。

私が想像できることなんて、私の周辺にあるほんのわずかなことだけ。だけど、私と全く違う人がその周辺のことを想像できるので、チームとしての想像力は多様になっていきます。するとできあがるコンテンツが多様になるので創造力も上がりますし、採用やサステナブルな組織をつくる上でもメリットがある。何よりも顧客が広がって、ビジネスにプラスになると思っています。

<私にとってのD&I>

この1年つくってきたチームそのものです。ジェンダーバランスも、人生の歩み方も、地域性や国際色も多様。チームで定例会議をしていると、いきなりスペイン語で会話しはじめるメンバーたちがいたりして(笑)。2020年末まで私1人だったなんて、信じられません。

これからもこの多様なチームみんなで刺激し合い高め合いながら、より質の高いコンテンツを通じてビジネスに貢献していきたいと思います。

[ 執筆:石川 香苗子/編集:筒井 智子/デザイン:金子 華子 ]

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